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詩と音楽・14
はじめは青山潤三氏の写真と散文です。
1988年の春。僕の最初の中国行。上海の南の杭州からバスに乗って、ひたすら西へ向かった。日本人の旅行者がやってくるのは始めてという、この町のホテルに、なぜか日本語の上手なゼネラルマネージャー。省都の大学で日本語を勉強した、うら若き女性である。食事のときも外出時も、この人の監視つき。翌日の昼間、目を盗んで地元の路線バスに飛び乗り、行き当たりバッタリで終点まで。日本では、北アルプス・南アルプス・妙高山群にしかいない高山蝶の一種が、この附近の、屋久島やトカラ列島と同緯度の亜熱帯の低地にいるという、信じがたい百年前の記録、それを確かめるためにやってきたのである。しかし、どう考えても高山蝶などいそうもない、長閑な菜の花畑が続く。やっぱりガセネタ、とあきらめかけた直後、Chinese Orange Tipは現われた。その夜、一人でうろついていたのがばれてしまって、翌日公安がやってくる由、朝一番のバスで町をでたほうがいいと、マネージャー氏からの通告。懐かしい、中国での最初の想い出。
河の畔の菜の花畑/中国安徽省深渡
次は、三 角さんの詩です。
透(す)んだ水
詩 三 角
曲 AYAKO
ネコはどこからきたか
墓石のあいだで湧いていたか
イヌはどこからきたか
屍肉の傍らに頭を出した蕗の臭いに追われたか
裸であることをやめたのに
背を丸めたヒトはどこからきたか
野火の並ぶ丘のむこうから
黒焦げの有刺鉄線を潜ったままの恰好で
やってきた
野のむこうで鐘が鳴っていた
カミが問うた
―――どのくらい待てばヒトはヒトになるか
鐘の音が応えた
―――闇が熟れて透んだ水を滴らせるまで
※この詩を読んだとき、不思議な三 角さんの世界を見られたようで、うれしくなりました。
>ネコはどこからきたか
墓石のあいだで湧いていたか
ネコが湧いてくる世界、
焼け野原に、黒こげの有刺鉄線、
>どのくらい待てばヒトはヒトになるか
本当にそうだ!!と思います。いったいいつになればヒトになれるのか。。。
[ココをクリックすると曲が鳴ります]


いかがでしたでしょうか。
次は「エスキース(城)」です。
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