お話と音楽

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イルカに乗ったネコと出会うの巻き

どのくらい海の上を飛んだでしょうか。やがてトミーとエミーは、熱帯の島に到着しました。海岸線は、遠浅になって、白い砂浜になっているところもありましたが、大部分は、険しい岩がそそり立って、入組んだ地形になっていました。トミーとエミーは、真っ白い砂浜に到着しました。海の色は沖のほうはコバルトブルーですが、海岸近くになるにつれて、何色もの色が混ざり合って、天国にいるような海の色でした。この砂浜には海亀が産卵に来るのだと、トミーが教えてくれました。

トミー「エミー、ここでしばらく暮らしてみますか。自然は美しいし、色々な生き物たちもいるから、淋しくはないと思いますよ。」

エミー「ありがとう、トミー。素晴らしい島だわ。すっかり気に入りました。一人でも大丈夫よ。しばらく暮らしてみることにするわ。」

トミー「ところで、エミー、1つ気になることがあるのだけど、エミーは生まれて初めての旅だと言っていたね。生まれてから一度もあの土地から出たことがないと。。。エミー、もしかして忘れてしまったのですか?マスターやカノジョ、グレイたちと一緒に、各地を冒険の旅をして周ったことを。。。」

エミーはしばらく遠くを見つめるようにして、考えていましたが、
「そういえば、少し思い出したわ。スポットとスノーが生まれる前は、私は仲間達と一緒に、旅をしていたんだわ。何でそのことをすっかり忘れてしまったのだろう・・・」

トミー「思い出したのですね。エミー、良かった!!たぶん、記憶喪失になって、仲間たちと旅した日々の記憶がなくなっていたのでしょう。原因はたぶん、マスターが旅に出たことではないでしょうか。エミーは気丈に振舞っていたけど、マスターがエミーの元を去ってしまったことは、相当のショックだったのでしょう。そのため、マスターにかかわる記憶を無意識のうちに、消し去っていたのかもしれません。悲しみを排除して、生き延びてきたのです。生命力とは、すごいものです。私の言葉で思い出させてしまったけれど、辛くありませんか?」

エミー「トミー、ありがとう。思い出させてくれて。私はもう大丈夫よ。時も経っているし、一人旅に出てきたのです。これからは、未来に向かって、生きていこうと決意したのです。それにこんな、夢のように美しい島に来れたのですもの。」

トミー「それを聞いて、安心しました。私はそろそろ天国へ帰らなくてはなりませんが、困ったときや、他の島に行きたくなったときは、いつでも呼んでください。連絡は、一番星に向かって『トミー私のところに来てください!!』と叫べばいいのです。」

トミーはふわっと舞い上がると、大空の彼方へ消えていきました。

エミーは白い砂浜で、真っ赤な夕日が沈んでいくのを見ていました。大きな大きな夕日を眺めていると、悲しくはないのですが、なぜか涙が溢れてきました。
ふと、海のほうへ目をやると、1頭のイルカがこちらに向かって進んでくるのが見えました。段々近づいてくると、仔猫がイルカの背中に乗っているのが見えます。海岸近くまで来ると、仔猫はイルカに別れを告げて、エミーのほうへやってきました。

仔猫「こんにちは、君はいつからこの島にいるの?初めて見る顔だね。」

仔猫は人間の年で言えば、10歳くらいの少年でした。ほっそりとした肢体で、真っ白いで短い毛並みに、ブルーの瞳、瞳の周りを長い睫毛が囲んで、憂いを帯びた表情をかもし出しています。

エミーは思いました。「なんて美しい仔猫だろう。この世の者とは思えない美しさだわ。」

エミー「こんにちは、私はエミー。たった今この島に着いたの。しばらくこの島で暮らすことにしたの。よろしくね。あなたはいくつなの?あんまり美しいので、天使かと思ってしまったわ。」

仔猫「僕は10歳(人間の年で)、名前はミッシェル。親も兄弟いない独りぼっちのネコさ。一人で暮らしているんだ。君と会えて、うれしいよ。よかったら、僕の家で一緒に暮らさないかい。」

大人に向かって、この口の利き方はなんだろう。。。とエミーは少しムカッとしましたが、確かに自分には住む家もないのだから、ミッシェルの家で暮らさせてもらえるなら、本当にありがたいことではあったのです。

エミー「ありがとう、ミッシェル。君の家で、しばらくお世話になります。何でも手伝いますから、よろしくね。」

ミッシェル「そうと決まれば、早く家へ帰ろう。もう日も暮れかかっているから、急がないと暗くなってしまう。」

エミーはこうして、ミッシェルの家に居候することになったのです。

つづく

BGM decency (AYAKO)
※BGMは三 角さんのdecencyという詩をイメージして作曲しました。
※三 角さんの原詩はこちらに載っています。

イラストの説明
イルカに乗った少年が、エミーに近づいてきました
イルカに乗った少年が、エミーに近づいてきました

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