一羽のフクロウがクロスケからの手紙を届けてくれました。
3びきは(グレ、カノジョ、マスターの3びきののらねこ)、手紙を読んで信じられないほどのショックを受けました。
クロスケからの手紙
「みんな元気ですか。ストリート.ミュージッシャンの生活は順調ですか。
僕はもうすぐ天国へ行きます。この手紙が届く頃には、もう旅立っているでしょう。今、君たちといっしょに過ごした、クリスマスのことを思い出しています。楽しい思い出をありがとう。クロスケ」
グレはフクロウに聞きました。
「クロスケは病気なの。何でもっと早く知らせてくれなかったのだろう。」
フクロウの話によると、家の食料も底を尽きたクロスケは、働きに出ることにしましたが、年老いていたため、なかなか働き口がありませんでした。
やっと見つけた仕事は、森の夜の見回りの仕事でした。本来はフクロウの仕事でしたが、クロスケは色も黒いし、暗いところでも、眼が見えるのでいいだろうと言うことになったのです。
でも森の見回りの仕事は、夜が主でしたので、年老いたクロスケにはハードでした。他のフクロウたちは、空を飛ぶことができましたので、いたちやたぬきが出ても、さっと飛び立って逃げることができました。しかし、クロスケは飛べませんでしたので、必死に走って逃げなくてはなりません。そんな無理がたたって、いよいよ天国へ召されるときが来てしまったのです。
「でもクロスケは自分のやりたいことをやってきたので、何も思い残すことはない。と言っていました。僕はあなたたちに手紙を届けましたので、急いでクロスケのもとへ帰ります。」
そう言うと、フクロウは飛び立っていきました。
3びきは、すぐにでもクロスケのもとへ行きたいと思いましたが、ストリート.ミュージッシャンもはじめたばかりで、旅行の費用もありません。どうしようと思案しているところへ、今度はトナカイのトミー(羽の生えたトナカイ)が、天国から手紙を持ってきました。
「メイからだわ!」
カノジョが叫びました。
「みんな元気ですか。クロスケの手紙を見て、さぞかし驚いたことでしょう。
クロスケは、もう天国に来ています。クロスケは長い間、よく働いてきました。今は天国で、ゆっくり休養しているところです。だからみんな、悲しまないでください。僕とクロスケはいっしょにいますから。 メイより」
手紙といっしょに、メイとクロスケの写っている写真が添えてありました。2ひきとも、背中に羽が生えていて、やさしくほほえんでいました。
その写真を見た3びきは、大声で泣き出してしまいました。チャピーも何だかよくわからないまま、もらい泣きをしています。
カノジョは手紙を書きました。
「メイとクロスケさんへ
あなたたちの幸せそうな写真を見て、少し心が落ち着きました。私たちはもう泣きません。ストリート.ミュージッシャンをがんばって、続けていきます。天国で見守っていてください。 カノジョより」
その手紙を乗せて、トナカイのトミーは天国へ帰って行きました。