作者の都合で、しばらくお休みしていましたが、又ぼちぼち再開します。
さて、前回 首を吊ろうとしていた所を、カノジョとハナに助けられた子ウサギのナオミは、カノジョたちと一緒に暮らすようになり、すっかり元気になりました。
雪深い冬の間は、学校へは行かず、カノジョたちと山の洞穴で暮らしました。冬の山は一面雪で覆われるので、あまり外へは出ないで、洞穴で本を読んだり、編み物をしたりして暮らします。時々晴れた日には、外へ出て、雪の中を思い切り走り回ったりしました。食べ物はたくさんの木の実や野草を蓄えて、ジャムやクッキーを作ったり、採ってきた魚は雪の中に冷凍保存したりしてありますので、心配要りません。
ナオミにとっては、この閉ざされた空間での生活が、安らぎになったようで、痛んだ心がゆっくりと回復していったのです。
やがて雪解けの水が勢いよく流れはじめ、山の木々や草花が一斉に芽吹き、色とりどりの花が咲き乱れ、山はすっかり春の装いに変わりました。
カノジョとハナとナオミは山を下りて、麓の村で暮らすことにしました。ナオミを学校に通わせるためです。学校へ行くといっても、もう元のエリート学校に戻るわけではありません。今度は川向こうの「レットウセイ学校」と言われていた学校、本当の校名は「ドリームスクール」に転校するのです。
3匹はまだ雪の残る山道を降りて行きました。山の麓には小さな無人小屋がありましたので、その小屋に住むことにしました。
小屋は何年も空き家だったようで、埃だらけでしたが、どこも壊れていないようです。3匹は1週間かけて掃除をし、家具を調え、やっと暮らせるようになりました。
カノジョはナオミだけではなく、ハナも学校に通ってほしいと思っていました。
エリート学校では選ばれたウサギの入学しか認めませんが、ドリームスクールでは、どんな色のウサギでも入学できるし、他のどんな種類の動物でも入学することができたのです。
4月5日はドリームスクールの始業式です。ドリームスクールは制服はありませんでしたので、カノジョはナオミとハナに新しい服を買ってあげました。
カノジョ「ハナ、あなたもナオミと一緒に学校へ行ってみない?ドリームスクールはどんなウサギでも入学できるのよ。」
ハナ「え?私も学校へ行けるの?ナオミと一緒だから通ってみたいわ。」
カノジョ「よかったわ。そういうと思って、2人に服を買ってきたのよ。これを着て始業式にいきましょう。」
ナオミもハナもさっそく新しい服を着て、はしゃいでいます。ナオミも最近では目をキラキラさせて、大きな声で笑うようになっていました。
いよいよ4月5日、始業式の日がやってきました。
カノジョは新しい服を着たナオミとハナを連れて、ドリームスクールの門をくぐりました。
学校の前には川が流れていて、川添いには道路を挟んで校門までの道は桜並木が続いています。この日は調度桜が満開で、3匹は桜のトンネルを歩いていきました。時折風で桜の花びらが散って、3匹をやさしく包みます。
「生きていてよかった!!」
ナオミもハナもカノジョも同じ気持ちで胸がいっぱいになりました。
つづく